仕様書で制約と非ゴールを先に書き、手戻りを素早く減らす方法を解説します。固定する技術スタック、予算、期限と、変更可能な項目をシンプルな形式でまとめる方法を紹介します。

手戻りは、動作するものを作ったのにプロジェクトには不適切だったためにやり直すことです。チームは画面を作り直し、ロジックを書き換え、データを移行し、機能を再構築することになります。これは重要な決定が遅れて出てくることで起きます。
よくあるパターンは次のとおりです。想定していたユーザーロールが間違っていてフローを作り直す、モバイル対応が期待されていて再設計する、バージョン1の後に「監査履歴が必要だ」となってデータモデルが変わる、クライアントが第三者サービスを使えず統合を入れ替える、コンプライアンスや地域ルールでホスティングを移す必要が出る、などです。
制約が書かれていないと後で驚きの判断が生まれます。仕様に「CRMを作る」とだけ書いてあると、多くの質問が残ります:誰が使うのか、どのプラットフォームが重要か、どんなセキュリティルールがあるか、何をスコープ外にするか、予算と期限は本当か。回答がコード作成後に出ると、二度手間になります。作るためのコストを支払い、さらに元に戻すためのコストも払うことになります。
例を一つ。創業者が「予約+リマインダー」を頼んだとします。1週目にメールリマインダーを出してリリースします。2週目になってSMSが必要だと言われますが、その国ではSMSが使えないか予算を超えます。するとリマインダーの設計を変えて画面を変え、テストをやり直す必要が出ます。これはコーディングが下手だったからではなく、制約が遅れて出たからです。
目的は、コードを書く前にやり取りを減らすことです。手で書こうがチャットベースのビルダーを使おうが、出力は与えたルールに従います。ルールが遅れて出ると作業がシフトしてやり直しになります。
長い文書を作る必要はありません。ライトな仕様でも重要な点は厳格にできます。初期段階では次に答えられるようにします。
制約と非ゴールを先に書けばガードレールのように働き、驚きや作り直しが減り、初日から判断が明確になります。
制約はプロジェクトが従わなければならない固定の決定です。無視すると出荷できない方向に作ってしまい、二度手間になります。
非ゴールは明確に「やらない」と宣言するものです。書かないと仕様が静かに膨らみ、小さな追加が画面やデータモデルの作り直しを誘発します。
簡単なルール:制約はどう作るかを制限し、非ゴールは何を作らないかを制限します。
制約は、本当に変えられない「必須」です。簡単に「多分」と言えるならまだ制約ではありません。
例:
制約が本物なら、議論の余地がない一文で書いてください。誰かが「もしかして…」と言えるなら、それはまだ制約ではありません。
非ゴールは「これを作りません」という明確な宣言です。初回リリースを守るための防御策と考えてください。
例:
非ゴールは消極的な宣言ではなく、高コストの寄り道を避けるためのものです。例えば「v1でカスタムロールは作らない」は、権限周りの難問を先延ばしにしてデータベースやUIの大幅な見直しを防げます。
詳細を書く前に、プロジェクトを一文でピン止めしてください。これが判断の基準になります。
良いワンライナーは、誰のための何をするかを答えます。
例:
次に小さな成功定義を3〜5の成果で書きます。機能ではなくユーザーが達成できる結果で書いてください。
チューター予約の例:
まだ指標が無ければ言葉で成功を表現します。「速い」は曖昧ですが「スマホで速く感じる」は十分です。「簡単」も「導入に説明不要」のように具体化できます。
このセクションは短く保ち、以降のすべての文脈(何が必須か、何がしてはいけないか、何が変えられるか)の基礎にします。
手戻りはスケジュールや意思決定プロセスが誰かの頭の中にだけあるときに起きます。画面や機能を説明する前に、プロジェクト制約を仕様書に入れてください。
プレーンでテスト可能な文にします:
簡単な例:
「初回リリースは5月30日までに出す。ログイン、基本的な顧客リスト、月次レポート1つを含む。v1では統合なし。予算は最初の1か月のホスティングを含めて8,000ドルが上限。レビューは平日24時間以内に行う。プロダクトオーナーはSamで、スコープ変更を承認するのはSam。」
フィードバックの速さは独立した一行に値します。これが進め方を左右するからです。関係者のレビューが週1回しかできないなら、仕様は小さなリリースと少ない例外を優先すべきです。
現実に合うレビュー頻度を選んでください:即日、平日24〜48時間、週次ミーティングのみ、または(稀に)「フィードバック不要」の選択肢など。
技術的な制約を早く書かないと、人は勝手に前提を埋めてしまいます。その結果、作業中に画面やマイグレーション、統合をやり直すことになります。
まず、何がロックされていて何が優先希望にすぎないかを明確にします。「Reactが望ましい」は「Reactでなければならない」とは違います。理由があれば一文で示してください。
アプリ全体(Web、バックエンド、DB、モバイル)で明示します。柔軟なら境界を示します(例:「v1ではモバイルはWebのみ」)。
書き方の例:
続けて避けられない統合を列挙します。支払い、メール、分析、CRMなどのシステム名を書き、ハードな制限を書きます。例:「課金はStripeで行う必要がある」、「メールは既存プロバイダ経由で送ること」、「分析は個人データを追跡しないこと」。認証が固定なら(SSO、Googleログイン、パスワードレス)それも明記してください。
ホスティングの選択はアーキテクチャを変えます。アプリをどこで動かす必要があるかと理由を書いてください:例「ドイツでデプロイする必要がある」「データはEU内に留める」「グローバルで動かして良い」など。
コンプライアンスがあるなら具体的にしてください:保存期間、削除ルール、監査要件。
例:「記録を7年間保持、検証済みの削除要求から30日以内に削除、記録を見た人の監査ログを保持、患者が住む国のみでデプロイ」。これらはリリース直前のサプライズを防ぎます。
非ゴールは仕様のガードレールです。初回リリースで作らない、サポートしない、完璧を目指さない項目を明確にします。多くの「小さな」要求が後で来て全体計画を変えてしまうのを防ぐ最速の方法です。
良い非ゴールは1文でスコープの膨張に気づけるように具体的で、時間軸があることが望ましい。「v1ではない」は「やらない」より明確です。
人が含まれていると想定しやすい機能から始めます。簡単な予約アプリなら:
これらは悪い機能ではなくコストの高い機能です。書いておくと初回リリースが集中できます。
役割や権限、例外フローのような『詳細』項目も明記してください。例えば「カスタムロールは作らない。ロールはOwnerとMemberの2つだけ」。これだけで数週間を節約できます。
機能以外の非ゴールも書き残します。これがないと後で痛いリワークになります。
例:"v1で100万人を想定してチューニングしない。v1は週500アクティブユーザーまでを想定する"、"Internet Explorerはサポートしない"、"タブレット専用レイアウトは作らない"、"ログインはメールとパスワードのみ(SSOやマジックリンクなし)"、など。
仕様は小さな判断を進化させられる余地があると安心です。固定事項だけ書くと新しいアイデアごとに大議論になります。短い「変更して良い項目」リストを作ると、重大な機能追加ではない改善を進められます。
実践的に。最初に学ぶであろう点に関する項目に絞ってください。柔軟項目の例:UIテキスト、小さなフローの修正、レポートの列、名称(ロール、ステータス、カテゴリ)、基本的なレイアウトなど。
次に、変更の受け入れ方法を決めます。承認ルールがないと「ちょっとした修正」が知らぬ間にスコープを広げます。
多くの小規模チームに有効なシンプルなワークフロー例:
重要なルール:柔軟な変更は固定された制約を壊してはいけない。スタックがReact + Go + PostgreSQLに固定なら、それを「バックエンドを切り替える」ための変更にはできません。期限が固定なら「新しいモジュールを追加して2週間延長する」は許されません。
共通のトレードオフ例を1つ用意して合意しておくと良いです。「新しいユーザーロールを追加するなら、高度なレポート機能をフェーズ2に延期する」など。
良い仕様は選択肢を絞ることから始まります。この形式は誰かが作り始める前にルールを書くことを強制します。
ヘッダーとしてドキュメントに貼って使ってください:
SPEC v0.1 (date)
Owner:
Reviewers:
1) One-liner
- Build: [what it is]
- For: [who]
- So they can: [main benefit]
2) Success definition (3 outcomes)
- Outcome 1: [measurable result]
- Outcome 2: [measurable result]
- Outcome 3: [measurable result]
3) Fixed constraints (cannot change without re-approval)
- Deadline: [date]
- Budget: [$ or hours]
- People: [who is available]
- Tech stack: [fixed choices]
- Hosting/region: [where it must run]
4) Non-goals (must NOT happen)
- [explicit “no”]
- [explicit “not in v1”]
- [explicit “we won’t support”]
5) Open questions
- Q: [question]
Owner: [name]
Due: [date]
6) Lock rule
- After review: changes require: [what approval looks like]
ほとんどの驚きは運ではなく解釈の違いから起きます。仕様が異なる解釈を許すと後で問題になります。
一つは目標と解決策を混同することです。画面やフローに飛びつく前に、期限・予算・技術スタックといった固定事項を書かないと、見た目は良くても制約に合わない計画になります。
もう一つは曖昧な非ゴールです。「余分な機能は作らない」は厳しく聞こえても、「ちょっとしたレポート」や「簡単な管理パネル」が来たときに何も止められません。非ゴールは具体的でテスト可能にしてください。
隠れた予算や“ゆるい”期限もスコープ爆弾です。実際の予算が5,000ドルなのに仕様が50,000ドル相当に見えると、チームは間違ったものを作ります。嫌な数字でも文章に入れてください。
統合とデータ所有権も静かな驚きを生みます。「Stripeに接続する」と書いても、どのイベントを受け取るか、どのフィールドを送るか、誰がデータを所有するかを定義していないと同じ決定を何度も話すことになります。
最後の落とし穴は、開発途中で制約を変えることをトレードオフなしに行うことです。「ウェブのみ」から「ウェブ+モバイル」に変えたり、「Postgres」から「安い方にする」に変更すると計画が変わります。変更はできますが、必ずスコープ・期限・品質のいずれかを更新してください。
仕様に短い注記を加えて5点に答えられるようにします:
誰かが作り始める前に「何が固定か?」の質問にすぐ答えられる状態にしてください。
早いチェック:
これらが欠けていると最初のビルドは行われますが、本当のビルドは二回目になります。
勢いを維持しながら悪い決定に縛られない次のステップ:
もしKoder.ai(koder.ai)を使うなら、"Planning Mode"と明確な制約・非ゴールセクションを使うと、プラットフォームがあなたのスタック、ホスティング地域、スコープに合った初回ドラフトを生成しやすくなります。優先度が変わった場合はスナップショットとロールバックで安定したベースラインを保ちつつ変更を試せます。ソースコードのエクスポート機能があれば、後でレビュー・移行・引き継ぎをする際に役立ちます。
これらのルールを早期に書いておくと、機能の議論が楽になります。みんなが何を固定するか、何を動かして良いかを知っているからです。
手戻りとは、動作するものを作ったがプロジェクトの要件に合わないために作り直しが必要になることです。仕様で重要な制約が早期に示されないと、チームは妥当な仮定を置いて作業を進め、後でその仮定が誤りだとわかって作り直しが発生します。
まず明確にするのは、実際に変えられないものです。例として:期限、予算上限、ホスティング地域、必須の技術スタック、コンプライアンス要件。
その後に短い非ゴール(v1でやらないこと)を書いて、チームが小さな追加でスコープを広げないようにします。
簡潔に言えば:制約は「どのように作るか(how)」を制限し、非ゴールは「何を作らないか(what)」を制限します。例えば「EU内で動くこと」は制約、「v1でモバイルは作らない」は非ゴールです。
本当の制約はテスト可能な一文で書けるものです。誰かが「多分」と言えて、かつそれを覆す権限がなければ、それはまだ制約ではなく好みか未解決の質問です。実際に変えるにはトレードオフが必要かどうかで判断してください。
長い仕様を書かずに成功を定義するには、ユーザーが達成すべき3〜5の成果を書きます。数字がなくても良いので、『速い』や『簡単』のような曖昧な表現は避け、例えば「設定にコールは不要」や「スマホで快適に感じる」など具体的にします。
後で驚きになる代表的な隠れた制約は、モバイル対応、役割と権限、監査履歴(audit history)、データ居住性、そしてクライアントが使えない統合(サードパーティ)です。これらを早く表に出せば、画面やデータモデルの作り直しを防げます。
非ゴールは具体的で期限を明記してください。例えば「v1では対応しない」「タブレット専用のレイアウトはサポートしない」など。漠然とした『追加機能を増やさない』はスコープ膨張を止められません。
承認ルール、レビューの速さ、評価の頻度を書きます。例えば:誰でも変更を提案できるが、1人のオーナーが承認する/承認は毎週行う/コストや期限に影響がある変更はトレードオフを明記する、などです。これがないと『ちょっとした修正』が静かにスコープを広げます。
答えがまだわからない項目はオープンクエスチョンとして1人のオーナーと期限を付けて扱います。影響のある領域は答えがロックされるまで着手しないか、着手するなら仮定を書いておき、後で混乱なく見直せるようにします。
Koder.aiでは、まずPlanning Modeで制約と非ゴールを固定してから生成を始めると初回ドラフトがスタックや地域、スコープに合致しやすくなります。優先度が変わった場合でも、スナップショットやロールバックで安定したベースラインを保ちながら変更を試せますし、必要に応じてソースコードをエクスポートして他に引き継げます。